| ◆こだわりは文化
泡盛は熟成文化だった、というのが私の感想である。貯蔵の方法は、タンクであったり、甕であったり、樽であったり、瓶であったりする。どの状態でもひたすら時を重ね、出荷の瞬間を待っている。
古酒の表示基準が明確に設定され、3年以上の熟成酒が51%以上の場合に「古酒」と表示ができるように改定された。任意ではあるが混和割合を表示しても良い。また年数表示をする場合は、表示しようとしている年数の古酒が100%場合にのみ表示が可能となった。従来の表示では消費者は、商品価値を客観的には評価できず、自らの味覚で判断するしかなかった。もちろんその価値判断がもっとも的確な判断なのだろうが、様々な知覚で価値は高められるはずである。数年後には、この大英断が全ての方に納得評価されることに疑いの余地はないだろう。拍手を送りたい。
それにしても気の長い話である。同じ文化が中国酒の世界にも存在する。子供が生まれたら、記念に酒を貯蔵し始め、成人になったら、あるいは結婚するときに開封するというものである。育むという思想、どんなに急いでも解決しない価値を再確認できた。
◆酒造りは食品造り
今回の蔵めぐりでは、様々な個性に出会うことが出来た。気になったのは蔵の衛生環境に対する認識である。不衛生ということではなく、どの蔵も長年の手法を伝承してきているので大きな問題はないだろうが、土足を禁止し、防塵設備を充実した蔵も多く出始めている。
ある蔵は製造した商品を本土の大手メーカーに販売元として流通させているが、その業務提携によってメーカーから厳しい条件が提示されたという。
クエン酸が強力だから雑菌は死ぬ、蒸留するから、今までこうやっていたからということではなく、食品を作っているという認識を持つべきだという指導がなされたという。これは全社員に浸透し、とても士気が高まり、作業実施レベルが高まったという。昨年訪問した球磨焼酎にも製造業社間には同様の格差が見られた。飲み手の立場から、またコンサルタントの立場からは当然、製造業者には気にしていただきたいテーマといえよう。
大手流通バイヤーも実はこの部分を気にしている。設備や蔵を新しくする必要はない、誰が見ても清潔感を感じられる状態が望ましいだけである。(個人的には今の状態もある種の情緒を感じるが、私見以外の何物でもない)
◆増産か現状維持か
訪問した蔵は増産を推進するタイプと現状維持で対応するタイプとに分類できる。これは経営戦略の相違であり、どちらが正しい選択というものではないが、単なる増産ではなくしっかりとブランド育成していかなくては将来の成長方向を定められないだろう。改めて「泡盛とは何か」、「古酒とは何か」、「自社はどんな企業なのか」そして「消費者に何を提案していくのか」を考えていきたい。攻めつづけることに喝采を、守りを固めることに賞賛の意を送りたい。
◆もろみ酢が収益装置
泡盛は蒸留後長い時間をかけて価値を高めていく、そして出荷後に現金化される。入金の時間差を埋めるのが、現在大人気のもろみ酢である。廃棄物が収益に貢献する理想的なものである。見方によっては、もろみ酢を作る時にたまたま泡盛が出来ていると冗談を言う方もいるくらいである。清酒の世界でも酒粕が不足しているという声が聞こえる。全てのものに価値を見出すことが出来るというのであれば、本来の中核商品である泡盛や清酒をもっと魅力あるものに変えることは可能であろう。
泡盛は香りに癖があり、強いものとして飲まず嫌いしている消費者も少なくない。清酒も同様である。どのようにコミュニケーションしていくのか検討していきたい。
◆真面目なツアー
今回のツアーは大変真面目なツアーと現地の方に誉めていただいた。確かに3日間で夜の自由時間以外は、観光スポットには南部の沖縄ワールドに1時間程度立ち寄っただけで、あとは完全に蔵から蔵への移動ばかり。参加した皆さんは、蔵元でかなりの情報を繰り返しインプットされた為、泡盛の造り方をどなたにでも説明できるレベルに達しているのではないだろうか。
しかし次回は是非観光スポットも入れてプログラムしたい。・・・正直疲れた。
画像つきレポートは次回から始まります。 乞うご期待!
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